■SAQとは?
SAQトレーニングという名称は、スピード、アジリティ、クイックネスの頭文字(下記参照)に由来します。
S=Speed: スピード (重心移動の速さ)
A=Agility: アジリティ (運動時に身体をコントロールする能力)
Q=Quickness: クイックネス (刺激に反応し速く動きだす能力)
様々なメディアで、低いハードルの上を機敏に連続で飛び越えたり、ハシゴ状の器具の上を素早く走り抜けるトレーニングを見掛けたことがあるのではないでしょうか? 実はそれがSAQトレーニングなのかもしれません。SAQトレーニングは、それまで 「スピード」 と簡単に片付けられた能力をS.A.Q.の要素に細分化し、そしてハードとソフトの双方から漸進的なトレーニングとして体系化したものです。
■SAQトレーニングの歴史 SAQトレーニングは、1980年代後半アメリカのフットボールやバスケットボールのために開発されたもので、ダラス・カウボーイズ(NFL)やヒューストンロケッツ(NBA)などのトッププロにも採用されたトレーニングメソッドです。1990年代前半にアメリカから創始者のランディ・スマイス氏とともに外園隆が日本に紹介、瞬く間に日本のスポーツ界に幅広く普及し、特にラダーやハードルを利用したトレーニングは複数のメディアで紹介されました。現在は、当協会とアメリカ在住のアドバイザーが連携し、より良いトレーニングシステムを構築すべく密接にコミュニケーションを取り合っています。
■どうしてSAQトレーニングが必要なの? SAQトレーニングは、エリートアスリートだけが必要とするトレーニングではなく、全てのアスリートが必要とする「ゼネラルスキル※」を高めることを目的にデザインされています。上述のスピード、アジリティ、クイックネスは、ゼネラルスキルを構成する要因で、これらを高めることで包括的にゼネラルスキルを高めることが可能となります。 本来ゼネラルスキルは遊び等を介して幼少期に強化されますが、生活様式の変化と共に、それも期待できなくなってきているのが現状です。現代社会のように生活環境が整い過ぎると、逆に弊害も多くなります。幼少期にゼネラルスキルを強化する機会を少なくしてしまうことはその一つの例でしょう。舗装道路に慣れ、車や電車に乗り、遊び場を失い、自由に野山を走ったり、川遊びをする子供は年々少なくなってきています。本当なら、少年の頃の遊びの中で自然に芽生えるはずの俊敏さ(すばしっこさ)、バランス能力、柔軟性などが、今は十分備わっている人は少なくなって来ています。そこでその代わりの働きをするのが、SAQトレーニングなのです。SAQは自然な遊びの中で高められていたゼネラルスキルを、より効率良く効果的に伸ばし、人間が本来持っている能力を最大限に引き出すトレーニングメソッドです。
※ゼネラルスキル : 競技の専門的スキルの基礎となり、SAQトレーニングで向上させることが可能。